ジェンダーが叫ばれる現代で本当に大切なこと。心の強さが社会を変える。
皆様、はじめまして。AGS代表の古江鮎花と申します。
わたしは性同一性障害で、現在は誇り高く女性として生きております。ただ、生まれたときから強烈な性への違和感があったのではなく、大人になるにつれて、自分の価値観と現実のズレを徐々に認識していき、ジェンダーの知識を学ぶにつれ、心の性自認が女性なのだと気づきました。
人生の半分とまでは行きませんが男性として過ごしていたときよりも、今は全てが楽しく、素晴らしい女性としての人生を歩んでいると感じています。
ただそんな私も、今から10年前、いや、もっと前からでしょうか。本当に死んでしまおうかと何度も悩んでいました…
生まれた性と反対の性で生きることは、並大抵の覚悟で出来る事ではありません。FTM(女性から男性)の方も辛いと思いますし、MTF(男性から女性)の方は更に辛いと思います。お金もかかりますし、激痛にも耐えなくてはなりません。
そして、本当に大変な事は、様々な心の苦しみに耐え続けて生きる事です。
今でこそ性の多様性が謳われるようにはなりましたが、あくまでそれは表面的な事だと私は思っています。
何故なら認知こそは広がっていますが、LGBT等の理解はまだまだ現場レベルでは広がっていません。社会的な法整備もそうですし、性別適合手術へのハードルの高さ等、解決しなくてはならない問題が数多くある現状なのです。ジェンダーに悩みを抱える人、もちろん私もですが色々なことに差別や偏見を感じます。ただそれは気持ちの持ちようで、ポジティブに捉えることも出来ますし、跳ね返すことも出来ます。
泣きたいときは泣きます。その涙が涸れるまで。そうすればまた前に向かって歩くことが出来ます。
そして一度考えるのです。私が思う差別や偏見が、己の弱い心が生んだ幻ではないのか?と。傷つく言葉をかけられても、本当にそれが悪意のある言葉だったのか、何かを誤解していないか、気持ちのすれ違いはないか一度振り返ります。
苦しみ、悲しみ、辛さや痛みを乗り越えて、人の心は強くなれます。
わたしは泣き虫です。学生の頃はいじめも受けましたし、社会人になってからも周囲から邪魔者扱いされることも多々ありました。もちろん女性として生き始めてからも辛いことは波のように襲ってきます。首都圏から移住し相方とやっとの思いで立ち上げた農園はコロナの影響で閉園。ただ今までの辛すぎる経験が私の心を強くし、大抵のことは笑い飛ばせるようになりましたし、どんな逆境にも屈しない強さを手に入れました。悲しんでる暇はない。私が今後人生を懸けて社会のために何が出来るのか?その思いがAGSを立ち上げるきっかけになりました。
心の強さはやがて自信に変わります。自信に満ちあふれる事は、新たな可能性を切り開く力になります。
大抵のことは不可能ではありません。不可能と思うから不可能なのであって、可能だと強く信じれば可能なのです。ジェンダーや多様性が叫ばれる時代だからこそ、心を強く持つ事は本当に大事だと思います。懸命に努力し、心を鍛錬し強くしていく。関わる全ての人への感謝を忘れず、大事にしていく。
それが私という人間を表現することに繋がり、それが理解を生み、真の共生社会の実現に繋がるのだと、私は確信しています。
2022.11.03