海外で16歳のトランスジェンダー女性が殺害されるという事件が起きました。事件詳細についてはこちらをご参照下さい。リンク先はHUFFPOST様の記事となっています。
まずは16歳という若さで亡くなったブリアナ・ゲイさんのご冥福を祈りたいと思います。
この記事から感じたことは、トランスジェンダーが死亡した際のメディアの表現が統一されていない事、そしてトランスジェンダー女性に対する嫌悪です。
記事の中でもありますように、トランスジェンダーに対する怒りその対象が、トランスジェンダー女性だけに向いている事が分かります。当事者の私としてもこれは非常に嘆かわしいことです。理由は様々な事があると思いますが、何故トランスジェンダー女性にだけ、その怒りが向かうのでしょうか?
私が考えるに、まずトランスジェンダー女性の性犯罪があるとおもいます。
この件に関しては私も非常に憤りを覚えるのですが、やはりこういった犯罪が起きると、全てのトランスジェンダー女性を危険視する声というものが絶対に出てきますし、それは今後も無くならないでしょう。(性の多様性を隠れ蓑にした性犯罪者がいるかぎり)
もう一つの理由として、女性としてのパス度が関係していると思います。
見た目が女性としてパスできている方と、そうでない方。同じトランスジェンダー女性でも、周囲の反応は大きく異なります。
見た目が女性としてパスできていれば、正直なところそこまで生きにくさは感じないのかなと思います。大体の方が女性として接してくれますし、女性用トイレなども普通に使用できます。(といいますか、男性トイレを使用すると逆に男性の迷惑になります)
ただ、これが女性としてパスできていないと、一気に息苦しい世界へと変貌します。まず外では女性用トイレ等は使用できません(最悪の場合警察に通報される)し、女性用衣料の試着も場所によっては断られます。(パス度が低かった時に経験があります)女性として扱ってくれる優しい方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり見た目に違和感がありすぎると距離を取られたりする事が普通です。トランスジェンダー女性は、トランスジェンダー男性に比べ、性ホルモン投与開始年齢が高くなれば高くなるほど見た目のパス度を違和感のないレベルまで引き上げるのが困難な上、ホルモン投与でも声は高くはならないのです。(トランスジェンダー男性はホルモン投与で声も低くなります)
もう一つの理由があるとすれば、その本人がどういった行動をしていたか?です。
日本の場合ですが、レズビアンのトランスジェンダー女性というのはレズビアン界隈の中で毛嫌いされる傾向があります。というのも、「心が女性だから。」という理由だけで見た目のパス度はお構いなしにレズビアンパーティー等に参加し、それで拒否されると怒りだす等、身勝手な行動する方が残念ながら存在していたからです。
「心が女性だから。」というのは分かるのですが、だったらまずはシスジェンダー女性に迷惑や危害を加えない事を最優先に考えるのが普通なのでは… と思うのは私だけでしょうか?
トランスジェンダー女性が嫌悪の対象になる理由を挙げていきました。
私も世間から見ればトランスジェンダー女性なので、書いていて色々と辛い気持ちになります。正直トランスジェンダーという言葉自体、性同一性障害かどうかを問わない言葉なので、自分がトランスジェンダー女性という言い方をされるのは私は好きではありません… トランスジェンダーという言葉自体が意味合いが広すぎるため、残念ながら流行的な捉え方をされている場合もあります。
嫌悪感を向けられるのは、ある程度は致し方ない部分はあると思います。ただ、だからといって明確に意図した攻撃的な言葉で当事者を傷つけたり、その命を奪うことはあってはならないと思っています。
メディアの対応が様々だったり時として変わるのは、メディア側にそう言ったガイドラインが策定されていないからだと考えます。報道という特性上、トランスジェンダーに対する報道の扱いはしっかりとしたガイドラインを策定して頂きたいと思います。